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プール監視員の道
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プール飛び込み事故

 プールの飛び込み事故では、学校管理下のプール活動において1983年度〜2013年度の31年間に169件の障害事故が発生し、このうち、151件が特に重大な頭頸部(首から上部位) による事故が発生しています。
<学校指導要領によるプール飛び込みの指導方針>
 学校指導要領(文部科学省)において、プールにおける飛び込みによるスタートは具体的に禁止された行為ではありません。
 特に「高等学校学習指導要領解説 保険体育編 体育編 平成21年7月 文部科学省」におけるプールの飛び込みに関する明記では、
引用開始:
(2) スタート及びターン 各泳法において,スタート及びターンは,続けて長く泳いだり,速く泳いだりする上で,重 要な技能の一部であることから,泳法との関連において取り上げることとしたものである。 なお,今回の中学校の改訂では,事故防止の観点から,スタートは「水中からのスタート」 を示している。そのため,飛び込みによるスタートやリレーの際の引継ぎは,高等学校におい て初めて経験することとなるため,「段階的な指導を行うとともに安全を十分に確保すること」 を示している。この点を十分に踏まえ,生徒の技能の程度や水泳の実施時間によっては,水中 からのスタートを継続するなど,一層段階的に指導することが大切である。引用終了
 と記載され、高等学校におけるプール授業において指導と安全配慮のもとでプールの飛び込みが授業が行われています。
 小中学校においては、学校指導要領により「水中からのスタートを指導する。」と記載され、飛び込みを禁止しています。


<学校管理下のプール活動における飛び込み事故の発生件数>
・1983年度〜2013年度における障害事故内訳
・頭部      70件
・頸部      78件
・頭頚部       3件
(頭部・頸部の両方またはその区別が困難)
・胸腰部       1件
・末梢神経      1件
・歯牙      13件
・その他/不明    3件
 合計      169件
参考資料:学校リスク研究所(主宰:内田 良,名古屋大学大学院)
http://www.dadala.net/

<近年の主な飛び込み事故>
・発生日時:2023年5月4日 午前10時15分ごろ
 場所:茨城県の県立高校近く公立施設屋内プール
 受傷者:県立高校の水泳部生徒
 状態:頸椎骨折。翌日退院したが回復まで1か月ほどかかる見込み。
 事故等の状況:プールサイドから飛び込み練習を10回した後、高さ30pのスタート台に移り、4回目の飛び込みで水深120pのプールの底に頭を打ち付けた。
 生徒はプールから上がって痛みを訴え、救急搬送された。
 現場にいた男性顧問は指導経験がなく、4月に着任していた。
 県教委は「専門家の意見を基にした練習メニューに従っていた。顧問と上級生も練習を見ており、(指導に)問題はない」としている。
 この施設では通常飛び込みは禁止されているが、水泳部として許可を取り、前年度と同じ練習メニューに沿って飛び込みをしていた。


・発生日時:2016年7月14日 午前10時ごろ
 場所:東京都立の工業高校
 受傷者:高校3年男子生徒 18歳
 状態:首の骨を折る大けが。胸から下がまひした状態。
 事故等の状況:保険体育の男性教諭の指導でスタート地点から1メートル離れた地点に約1メートルの高さにデッキブラシの柄を掲げ、生徒に柄を超えて飛び込むように指示。
 生徒はプールの底で頭を打ち、救急搬送された。プールは満水時1.2メートルの構造だが、水を減らしていた状態であった。
 生徒は、飛び込みを練習をはじめ5回目の授業で経験が少なかった。
 東京都教育委員会は、2017年度より都立高校の水泳授業などの飛び込みを原則禁止。
 指導を行っていた男性教諭は、2018年4月16日付けでは停職6ヵ月の懲戒処分(懲戒免職の次に重い処分)。


・発生日時:2016年7月15日 午後5時20分ごろ
 場所:鳥取県 町立小学校のプール
 受傷者:小学6年生の女子児童 12歳
 事故等の状況:
 校長把握のもと水泳の課外授業において教諭の指導でフラフープに向かって飛び込む練習をしていた際、頭をプールの底に強打して頚髄損傷。6日間入院の後、平成29年3月の時点で手足のしびれによりリハビリを継続している。
 後に事故前日にも他の女子児童がプールの底に頭を打っていたが、担当教諭が報告していなかったことが判明。事故を受け県教育委員会が鳥取県内の公立小学校を対象に実態調査したところ、飛び込みの指導を受けた児童が負傷して医療機関で受診したケースが計6件発生していた。
 2017年6月 町が設置した事故調査委員会は、報告書において「不適切な指導が事故を招いた」と非難。また、学校の対応について「児童みずからが起こした『不慮の事故』」として処理しようとした」と指摘。「隠蔽とも疑われる態度に終始した」と非難しました。


・発生日時:2015年7月14日 午前10時40分
 場所:長野県の県立高校
 受傷者:高校3年生の男子生徒 17歳
 状態:手のしびれを訴えて病院に搬送されたところ首を骨折していた。 
 事故等の状況:プールに飛び込んだ際に、水深1.3メートルの底に頭をうった。教師と他の生徒がプールサイドに運び上げた。


・発生日時:2015年6月26日 午前
 場所:岐阜県多治見市 市立中学校
 受傷者:中学3年生の男子児童 14歳
 状態:命に別状がないもの全身がしびれた状態。
 事故等の状況:高さ30センチメートルの飛び込み台からプールに飛び込み、水深1.1メートルのプールの底に頭をうったとみられ、頸椎骨折の重傷る。
 平成29年7月 市は教師の責任等を認め賠償金支払い等で大筋合意。
 受傷した生徒は平成29年7月時点で後遺症(自律神経・感覚神経のまひ、上下肢の運動障害など)が残っている。


・発生日時:2014年8月 水泳部飛び込み練習中
 発生:大阪府の市立中学校の校内プール
 受傷者:中学3年生の男子児童
 状態:頸椎骨折により、身体障害手帳1級の認定受けた。
 事故等の状況:
 水泳部の部活中にビート版10枚を重ねた上(水面74センチの高さ)から飛び込み練習を行い、水深1.1メートルのプール底に後頭部と首を強打。頸椎骨折により、身体障害手帳1級の認定受けた。
 2017年8月9日、大阪府八尾市は8500万円を支払う内容で和解した。

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