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プール監視員の道
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ふじみ野市プール女児死亡事故の判決

 平成18年(2006年) 埼玉県ふじみ野市大井プールにおいて発生プール事故では、市教育委員会の職員2名に対して業務上過失致死罪に問われ、執行猶予つき禁固刑の有罪判決が出されました。この判決は、行政担当者の責任に関して後の施設の安全管理に大きな影響を与えました。
 本ページは、有罪判決となった職員2名に対する過失内容と、過失に至った背景等に着眼して概要の一部を纏めています。事故の大きな原因となった委託業者に関する不備についての概要は省略しています。
<プールと職員2名の関係>
 事故のあったふじみ野市のプールは、昭和61年大井町立町民プールとして開業。大井町と上福岡市が合併により「ふじみ野市大井プール」として行政(ふじみ野市教育委員会)が所管する市営プールでした。
 判決を受けた市教育委員会2名は、旧上福岡市の職員でした。
 2名はそれぞれ、平成17年10月1日にふじみ野市教育委員会体育課管理係長に就任。平成18年1月1日にふじみ野市教育委員会体育課長に就任。
 ふじみ野市教育委員会体育課長(以下、課長職)ふじみ野市大井プールの維持管理及び補修に関し、管理運営に専決する立場にありました。
 また、ふじみ野市教育委員会体育課管理係長(以下、係長職)として,ふじみ野市大井プールの管理運営に関する事務処理と、修繕などの起案を主体的に行う立場にありました。

<事故発生箇所の危険個所に至った背景>
 事故の直接の原因となった流水プールの吸水口防護柵ついては、平成11年頃からステンレス製のビスで固定されず針金留めされる箇所が発生していた。防護柵がビス止めができないことについて、当時の管理業者から報告がなされていたが、旧大井町教育委員会社会体育課職員によりビスに替えて針金で留めるよう指示がなされていた。その後もたびたび同様の報告がなされていたが、同様の指示がなされ針金留めされる箇所が増え、防護柵の四隅全てがビスで固定されていない危険な状態となった。
 また、吸水口のその他の安全対策として平成14年の埼玉県からの通知による基準において「排(吸)水口は、二重構造とし、一重目として排(吸)水口は、 堅固な金網や格子鉄蓋等を設けてネジ、ボルト等で固定させるとともに、二重目と してその先の配管口は金具等(吸い込み防止金具)を設置すること」となっていが改修されることなく放置されていた。

<職員2名の過失内容>
 課長職・係長職の2名は、プールの運営管理に関する立場にありながら、ふじみ野市委託契約書、ふじみ野市委託契約約款及びふじみ野市大井プール管理業務仕様書等の理解せず、漫然と前例踏襲として業者任せにすれば良いと考えていた。
 このため、行うべき義務を完全に怠って流水プールを開放し、事故につながる危険を発生させた。

<委託業者に対する市側の問題点>
 委託業者の安全性を無視した受託業者の数々の不誠実な対応がこの事故の直接的な原因でとなっている。この業者の実績では、過去10年間の指名競争入札において、途中の2年間を除きすべてこの業者が受注。しかし、監視員の多くが仕様書で求められている資格や経験を有しない者。仕様書で定められた人数の監視員が配置されていない。委託契約に違反した「丸投げ」ことなども気付かなかった。
 これら履行内容の確認についても、修了証書等の提出等による履行確認の形跡がなく、漫然と指名業者に加えていた。

<公判における職員2名の減軽嘆願書>
 さいたま地裁の公判において、課長職・係長職の2名について、2人だけが罪に問われることに対し構造的な問題があるとして、市の部長と市職員労働組合執行委員長らが発起人として、約7,000人の署名を集めた嘆願書を提出。

<判決と処罰>
・2006年11月15日 業務上過失致死罪の容疑で6名を書類送検
 ふじみ野市職員:体育課長、同管理係長、同課管 理係主事補
 太陽管財(株)社長、(株)京明プランニング社長、(株)京明プランニング現場責任者

・2007年6月8日 業務上過失致死罪で2名を在宅起訴
 ふじみ野市職員:体育課長、同管理係長

・書類送検されたが起訴猶予処分となった4名
 ふじみ野市職員:体育課主事補
 太陽管財(株)社長、(株)京明プランニング社長、(株)京明プランニング現場責任者

・2008年5月27日 さいたま地方裁判所 判決
 ふじみ野市職員:課長職 禁固1年6月 執行猶予3年
 ふじみ野市職員:係長職 禁固1年 執行猶予3年 控訴後に判決が確定
 地方公務員法の規定に基づき、事故後に定年を迎えた課長職は退職金が支給されないず、係長職は失職となった。

・2009年4月9日 検察審査会が起訴相当と議決。3名を略式起訴
 太陽管財(株)社長、(株)京明プランニング社長、(株)京明プランニング現場責任者

・2010年3月26日 さいたま地方検察庁
 (株)京明プランニング社長、(株)京明プランニング現場責任者 100万円の罰金刑

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